<10話 わいせつ物陳列事件>
1983年、羽田から広島の移動の時でした。折からの台風接近でYS-11の飛行機は揺れに揺れました。
その揺れている最中、私はトイレに立ちました。
あまりの揺れのため、右手でトイレの天井をささえ左手で用をたしていました。
「あーもうすぐ終わる」と思った瞬間
エアーポケットに!
急降下の最中まだ残りが出ています。右手にはものすごい力が加わっています。5~6秒(正確にはどのくらいかわかりません)経ったでしょうか。
「がたん」
と急降下が止まりました。
と同時に便座と水(?)が私の腹のあたりに飛んできて、さらにその勢いで私はトイレのドアに飛ばされ通路に仰向けに飛び出してしまいました。
スチュワーデスさんがあわてて「大丈夫ですか?」と駆け寄ってきて、びしょぬれの下半身に手を差し伸べたり、Gパンを気遣って下さるのですが、私は下半身のあの部分を隠すのに精いっぱいでした。
「大丈夫です。本当に大丈夫です。他のお客さんを見て下さい」と言うと(しぶしぶ?)私から離れていかれました。
ゆっくりとジッパーを上げ機内を見回すと座席上の荷物入れの扉が全部開き、荷物も大部分落下していました。機体全体が相当なショックだったのでしょう。
到着が遅れ劇場入りの時間も迫っていたためそのGパンのまま搬入、仕込みをやっているうちに自然に乾いてしまいました。
なぜか汚いという感覚はありませんでした。もちろんホテルにチェックインと同時に洗濯しましたが・・・
後から考えるとよく後頭部を打たなかったと思います。
教訓:飛行機に乗るときはトイレを済ませておきましょう。