<3話 てんぷら半田事件>


 1975年(?)の野口五郎さんの静岡公演の時です。私は音響チーフでした。当日は昼夜公演で昼公演そして夜公演の第1部までトラブル無く進行しました。第2部の緞帳が上がった瞬間、野口五郎さんのマイクが切れました。予備マイクに切り換えました。3曲目にフロントのRchannel全部が切れました。1~2秒後復帰しました。また2~3秒後切れました。この症状が5分程(実際は5分だったかは定かではありません)続き最終的には完全に切れてしまいました。そうこうするうLchannelも同様の状態が起こり、最終的にはフロント全て切れ、モニターだけになってしまいました。この時の私は舞台は進行しているのにもかかわらず、調整卓の前にはほとんど座っていませんでした。結局第2部後半はモニターだけで終わってしまいました。


 野口五郎さんには本当に申し訳ないことをしてしまいました。

 このトラブルの原因は下記の理由でした。

1、マイクケーブルはXLR-3-11CのHotのてんぷら半田付け。

2、当時はアンプInputには600:10Kのマッチングトランスを使用していました。上下1個づつ使っていましたが、2個ともマッチングトランスのてんぷら半田付け。

 てんぷら半田とは下図のような半田付けのことです。

 見た目は付いていますが、ちょっとした衝撃で離れます。

 しかし3個同時にてんぷら半田による接触不良が起こるのは私に運がなかったのでしょうか?

 はたまた将来の私のために神が課した試練だったのでしょうか?

教訓:てんぷら半田付けは命取りになります!