<②曲がる針金を用いた両耳掛けヘッドセットの針金が折れてしまった際の直し方>
曲がる針金を用いた両耳にかけるタイプのヘッドセットは、耳の窪みに引っ掛ける部分がある為、どんなに激しい動きでも外れにくいのですが、装着する度に針金を曲げる為、針金が摩耗して折れてしまうことがあります。【写真18】
【写真18】
開演直前や公演中に折れてしまうと出演者もケアオペレータも焦ってしまい慌てるので、針金が折れていないか、もうすぐ折れそうな状態になっていないかを頻繁に確認することが重要な作業です。万一折れてしまっても、慣れれば数分で直すことが出来ます。
以下に耳部分の針金が折れてしまった際の直し方を記載します。
必要な材料・工具
・針金 ※0.9mm~1.2mm位の太さが使いやすい
・熱収縮チューブ 1.5Φ
・ニッパー
・カッター
・ヒートガン(または750W以上のヘアードライヤー)
工程1
針金が折れた方の耳部分のみ、収縮チューブをカッターで切り取り、折れた針金を全て取り除きます。【写真19】
【写真19】
工程2
新しい熱収縮チューブを上から通します。【写真20】
元の熱収縮チューブの上に被さるように新しい熱収縮チューブを通すと綺麗に出来上がります。
【写真20】
工程3
新しい針金を熱収縮チューブの中に通し、ヒートガンで収縮をかけます。
工程4
元と同じ長さに曲がる針金を切り、修理前と同様に針金の先を曲げれば修理完了となります。【写真21】
【写真21】
慣れてしまえば数分で直せますが、この「曲がる針金を用いた両耳掛けヘッドセット」は耳から外れてしまうことが少ないという利点がある一方、何度も曲げているとどうしても金属疲労で針金が折れてしまう危険が伴うので、マイクケア要員が居ない公演には不向きと言えるかも知れません。
そのような現場になる場合、「曲がる針金を用いない両耳掛けヘッドセット」を製作することがあります。
大部分の作り方は「曲がる針金を用いた両耳掛けヘッドセット」と同じですが、こちらは曲がる針金を使用せず、ステンレスバネ線(もしくはピアノ線)のみで作ります。ステンレスバネ線は強い力を加えないと曲がらない分、より耳にぴったりくるよう作る必要があります。こちらもぴったり作れば耳から外れることは少ないと思います。
曲がる針金を使わないので、針金が折れるという心配は無くなります。※ステンレスバネ線(ピアノ線)はまず折れません
どちらの方法で作るかは、出演者の動きの激しさや、マイクケアが居るかどうかで判断するのが良いと思います。