演劇の舞台公演に携わる音響スタッフの
新型コロナウィルスに対する
感染対策マニュアル

2020.08.17 施行



 株式会社エスイーシステムは舞台公演中の新型コロナウィルス感染予防の為に本マニュアルを作成し実行する。なお実行は2020年8月20日〜コロナ感染収束までとする。収束後の本マニュアルは社会情勢を見ながら改訂するものとする。


 2020年9月7日〜27日に行われた舞台公演を「感染対策マニュアル 2020.08.17施行版」に則って行った結果、以下の問題点が明確になった。


・音響ブースをビニールシートで覆う案は今回持ち込んだシートは厚さ(0.5mm厚)の為見通しがかなり悪くなり、更に高音低音が減衰し本番操作に支障が出た。

・ワイヤレスマイクステーションにて「作業開始前に手袋を装着する。以降の作業は全て手袋装着にて行う」としていたが、実際に手袋を着用してマイクの養生など細かい作業をするのは困難だった。

 上記二点の報告に対して以下の対処とマニュアル変更をおこなった。

・音響ブースをビニールシートで覆う際、前がクリアに見える厚さのビニールシートとなるとかなり薄くなり上から垂らすしかないが、その分高さが必要になり、周囲を覆われることで音が聞こえ辛くなる恐れがあるため、実施しないということになった。オペレート時にマスク、フェイスガードのいずれかを着用することに変更した。

・ワイヤレスマイクの養生については、手袋を着用せず養生を実施した。手袋を着用しない代わりにアルコール除菌ジェルでのこまめな手指の消毒を徹底することに変更した。

2020.10.13 改訂版


<劇場入り前>
 制作側から検査要請がある時は、劇場入り前1〜2週間の間にPCR検査および抗体検査を受ける。検査結果が陰性の場合のみ劇場へ入ることができる。陽性の場合は保健所および会社に報告すると同時に、会社は事務所および倉庫の全面消毒、社員全員のPCR検査を実施する。
 
 劇場での音響スタッフの感染防止策として以下の感染防止セットを準備する。

★セット内容★
機材除菌スプレー(無水エタノール・マイクロフォンクリーンシャワー等)
アルコールハンドジェル(BIOPLEXなど)
紫外線殺菌保管庫
サーモカメラ
殺菌済保管BOX(蓋付き)
未殺菌保管BOX
トング
N95マスク
フェイスシールド
除菌用クロス(不織布、キムワイプなど)
ビニールゴミ袋

※商品名は参考、同機能を有するもので代替可能


<搬入〜仕込時>
 常にマスクを着用、陰性証明書を携帯し、劇場入りの際には劇場やカンパニー指定の除菌手続き後楽屋入りする。マスク着用のまま通常通りの搬入仕込み作業を行う。


客席操作ブース
 
 音響ブースをビニールシートで覆う際、前がクリアに見える厚さのビニールシートとなるとかなり薄くなり上から垂らすしかないが、その分高さが必要になり、周囲を覆われることで音が聞こえ辛くなる恐れがあるため、実施しないということになった。オペレート時にマスク、フェイスガードのいずれかを着用することに変更した。
 客席操作ブース(音響ブース)にはハンドジェル1〜2個と無水エタノールを常に設置しておく。ブースに入る度にハンドジェルで手指を除菌する。
 劇場のインカムセットとトランシーバーは無水エタノールで除菌する。除菌で使用した布等はゴミ袋に破棄し、公演終了後口を結んで廃棄する。
 これらを毎日実行する。


ワイヤレスマイク養生ステーション


 ワイヤレスマイク養生ステーションは上図の様に除菌物品を設置する。
 サーモカメラは立ち止まらずに一度に6名まで検温できるもので、劇場にいる間出演者、スタッフの体温監視が主目的である。体温異常が検出されたら即時に制作に報告し、制作による事後処理に従うものとする。
 その結果感染が確認された場合は、後述の「感染者が発生した場合」の処理に移る。

★第一段階
 作業開始前アルコール除菌ジェルで手指の消毒をする。

 プラスチックの保管箱を無水エタノールで拭いた後、透明な箱に「除菌済」、色付きの箱に「未除菌」と明記する。借用したテーブルの天板、トングを無水エタノールで除菌する。作業開始前と作業終了後に必ず実施する(作業時間短縮のため除菌シートの使用を検証中)。
 デシケーター(乾燥庫)の中を無水エタノールで除菌する。
 ワイヤレスマイク、ワイヤレス養生テープを紫外線殺菌保管庫に入れて30秒除菌する。除菌後トングで取り出し「除菌済」箱に入れる。がなりマイク、トランシーバーは無水エタノールを含ませた不織布で拭く。
 紫外線殺菌によりプラスチック面の劣化などが危惧される機材(ワイヤレス送信機など)は無水エタノールで拭いて除菌する。
 ウエストポーチは、キャストの使用前に酸素系漂白剤で洗濯する。
 
★第二段階
 アルコール除菌ジェルで手指の消毒をする。
 ガナリマイクは「除菌済」と書いたテープを貼り、各場所に置く。マイクロフォンクリーンシャワーは都度使用する(出来る限り使用する人数分のがなりマイクを用意する)。
 通常通りワイヤレスマイクをスタンバイする。

 ワイヤレスマイクのサウンドチェック時にはフェイスシールド+マスクを装着し、フェイスシールドの外側にマイクをおいてチェックする。
 音質チェック優先のためにフェイスシールド等を外してチェックする場合は、チェック後に再度紫外線殺菌保管庫で除菌する。

★第三段階(作業終了時)

 ワイヤレスマイクを回収し「未除菌」箱に入れる。
 ワイヤレスマイクをポーチから出して、マイクヘッドのみを取り外し紫外線殺菌保管庫で30秒殺菌する。取り出しはトングで行い、取り出し後は「除菌済」箱に入れる。マイクの数に応じて作業を繰り返す。すべて「除菌済」箱に移動できたら、最後にまとめてデシケーターに移動する。

 廃棄する物は全てゴミ袋に入れ、口を結んで指定ゴミ置き場に移動する。
 
 ウエストポーチはこまめに洗濯する。


<舞台稽古〜本番時>
 基本的に装着するもの・作業内容は搬入、仕込み時と同じ。
 以下の作業を追加実施する。

・客席にいるオペレーターはマスクもしくはマウスガードを着用する。有事以外の客入れ・本番・客出し中の会話は極力控える。
・ワイヤレスマイクの回線チェック終了後、それぞれジップロックに個別に収納し「除菌済」箱に入れる。
・出演者にマイクを装着するにあたって、ステーションで行う場合、楽屋に配布する場合、ヘアメイク部屋で装着する場合など、どの場面でもワイヤレスケアスタッフはフェイスシールドを装着して対応する。必要であれば舞台稽古中、本番中もフェイスシールドを装着する(本番時、舞台袖は暗く、フェイスシールドを装着すると照明の反射や動きにくさによって危険が伴う場合もあるため、基本的にはマスクのみの着用が望ましい)。
・ケアスタッフは劇場内では常にアルコール除菌ジェルを携帯する。
・公演終了後は出演者に「未除菌」箱に入れてもらう。箱を置く場所については、出演者やスタッフに周知しておく(ステーションや楽屋内など)。
・使用したウエストポーチは塩素系漂白洗剤で洗濯し、乾燥させる。1日2回公演の場合は、ウエストポーチを2セット作っておく(昼公演と夜公演で同じウエストポーチの使い回しはしない)。

 これらの作業を毎日繰り返し、各公演に備える。

 全公演終了後、各機材は返却時に殺菌消毒作業を行った上で収納する。


感染者が発生した場合
 音響スタッフは全員N95マスクに取り替え、フェイスガードを装着する。

 感染者が出演者の場合、その出演者が使用したウエストポーチは廃棄する。
 送信機、養生を取り外したマイク、仕込みマイクは無水エタノール、マイクロフォンクリーンシャワーで除菌後、紫外線除菌保管庫で30秒殺菌する。
 感染していない出演者のワイヤレスマイクも無水エタノール、マイクロフォンクリーンシャワーで除菌後、紫外線除菌保管庫で30秒殺菌する。
 感染していない出演者のウエストポーチは塩素系漂白剤で洗濯し乾燥させる。
 さらに仕込みマイクのスタンド、ケーブルを無水エタノールで丁寧に除菌する。

 感染者がスタッフの場合は、上記と同様、仕込みマイクを無水エタノール、マイクロフォンクリーンシャワーで除菌後紫、外線除菌保管庫で30秒殺菌する。
 仕込みマイクスタンド、ケーブルを可能な限り無水エタノールで除菌する。

 また感染した出演者、スタッフ共に接触した可能性のあるスピーカー、インカム、トランシーバー、舞台周りのケーブル等を無水エタノールで除菌する。

 その他、必要な客席、舞台、楽屋等の除菌は劇場、制作の判断によって行われるものとする。



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